●菴のけぶり / 前登志夫
菴のけぶり / 前登志夫 / 2006年10月7日 朝日新聞夕刊、乾坤の秋 神々の季節より(前略) 山住みの経験によって語られる真実の声も、しだいに架空なものになずみ寄ってしまうのではないかと自戒する。なべての現実を先取りし、華麗に拡大する情報技術により、人々は日常の折りふしや路上で出逢う秋よりも先に、情報化され、コマーシャルとなった素敵な秋に出逢っているのだから---
そうなんだ、紅葉を見るより関西ウォーカーの紅葉特集で先取りしてみる。実際に紅葉を見る頃には既に繰り返されたコマーシャリズムによる産物で、お腹がいっぱいになったころだ。「食欲の秋」「紅葉の秋」「遠足の秋」「遠出の秋」様々な枕詞は、秋という言葉を知らず知らずすり減らし、秋の本質を見失わせるのだろう。