●【読みたい】 大崎善生 - パイロットフィッシュ
「孤独か、それに等しいもの」、「アジアンタムブルー」に続く
大崎ワールド、第3本目。実はアジアンタムブルーは
パイロットフィッシュと同じ主人公が進めるストーリーなので、
実質、パイロットフィッシュが第一弾、アジアンタムブルーは
第二弾となる。
| パイロットフィッシュ | |
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パイロットフィッシュってのは、ちょっと環境にうるさい、
敏感な熱帯魚を育てるために、水槽内の状態を整える魚のこと。
バクテリアや水草、熱帯魚などの生態系を確立させるためだけの
その魚たちのことを「パイロットフィッシュ」という。
連綿と続く人生の中で起こる全てのことは、
きっとパイロットフィッシュみたいに
体内と精神の生態系を左右しようとしている。
しかしパイロットフィッシュは、
残念ながら役目が終われば、捨てられていく運命にある。
捨てられても、忘れられない。
大崎善生 - パイロットフィッシュ「由希子」
「うん?」
「スパゲティーを食べるとき、僕は今でもスプーンの上でクルクルして音をたてないようにしているし、煙草を切れても絶対に灰皿のシケモクは拾わない。何故かわかる?」
「うーん」
「それはね、君がいやがるからだよ」
「私がいやがる?」
「そう。そうやってね別れて十九年たって一度も声さえも聞いたことがなかったのに、僕は今でも確実に影響を受け続けて居るんだ。それももの凄く具体的なことで今でも君は僕の行動を制約している。だから僕は今でも人前でチューイングガムは噛まない」
(中略)
「そう。だからね由希子。僕は君とは別れていない。それが人と人が出会うということなんじゃないかな。一度出会った人間は二度と別れることはできない」
* * *
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