●【読みたい】 小川洋子 - 博士の愛した数式
文学と数学の融合は成功、しかし中・下巻はいずこに。
小川 洋子
新潮社 (2003/08/28)
売り上げランキング: 1,273
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ほ~
おじいちゃん子の人は泣けます
愛に満ちている【個人的感想:教師として】
数学が得意なわけではないが、たまにローテーションで教えることもある。
そんな中、自分も苦労したなぁと思いながら方程式を教えたりするわけだけど、
どうしても英語と比べると「自分の言葉を支える何か」が圧倒的に欠けている。
この小説に出てくる博士は、朴訥としてはいるけれど、それでも
教師としての魅力にあふれていたし、それは数学を愛すればこそなのだろう。
そういえば今までの人生の中で、数学を現実的な解説を持って、
テストから離れて勉強したことなど一度もなかった気がするな。
役に立たない、役に立つという視点で数学を見るのではなく、
何かを説明するためにどう役に立つか、それが面白いかということを
考えたことはなかったなぁと気づかされた。
こんな面白い世界を、昔に知っていたなら数学をもっとまじめにやっていたかも。
【個人的感想:一読者として】
「中・下巻はどこへ」と表題に示したのは、前編を通して貫かれる
どこか踏み込めない、表面的なストーリーという感触を抱いたからだろう。
数学に対する深い愛は伝わってきたけれど、嫌な部分・ドロドロの伏線部分は
解き明かす必要がないとはいえ、逃亡した印象。
ちょっとした、村上春樹のよう。
でも、そこまで世界の展開ができてないなーってかんじ。
* * *
しかし、数学と文学というある程度の異種格闘を、こんなドラマティックな形で
表現することができたこと、その筆力は素直に賞賛に値する。
【気になった部分】
「そうだ。それは直線だ。君は直線の定義を正しく理解している。しかし考えてごらん。君が書いた直線には始まりと終わりがあるね。だとすれば、二つの点を最低距離で結んだ線分なのだ。本来の直線の定義には端がない。無限にどこまでものびてゆかなければならない。しかし一枚の紙には限りがあるし、君に体力にだって限界があるから、とりあえずの線分を、本物と了解しあっているに過ぎないんだ。更に、どんなに鋭利なナイフで入念に尖らせたとしても、鉛筆の芯には太さがある。よってここにある直線には幅が生じている。面積がある。つまり、現実の紙に、本物の直線を描くことは不可能なんだ。」pp.179-180, 博士の愛した数式
(中略) 「物質にも自然現象にも感情にも左右されない、永遠の真実は、目には見えないのだ。数学はその姿を解明し、表現することができる。なにものもそれを邪魔できない。」
