●阪神淡路大震災から10年を迎えて

外は雨だ。
家の中にいると気づかないけれど、外ではしとしとと冷たい冬の雨が降っている。10年という月日を、空の上に舞い上がらせまいとしているかのごとく。犠牲になった人の魂を舞い降りさせまいとしているかのごとく。
流れてくるAMラジオの音。
クリアじゃない、音楽でもない、各地での様子を伝える声が、こんなにも心強く、こんなにも暖かいものだと知ったこと。
夜遅くまでごった返していた避難所。
避難所が絶対安全なわけじゃなかったけれど、ただ誰か人がいるところに行きたかったんだ。あの人やあの子がそこでちゃんと元気にしているかを見たかったんだ。
分断された道路。
あれだけサッカーしてもひっくりがえらないのにいとも簡単にこうなることを不思議そうに見つめた時。
不気味な色の空。
燃えさかるような、はたまた高貴な紫のような色の雲を見ていたことを思い出した。今思えば燃えさかる街の煙だったのだろう。
考えざるを得ない。
なぜ、自分は生きているのか。
なぜ、あの時死ななかったのか。
死ぬべきだったと行ってるのではなくて、死ななかったわけを考える。
10年間という月日の澱が、自分の底に溜まってしまって何も見えなくなるぐらいに濁ってしまう前に、もう一度自分を浄化する日。
今更、「ガンバレ」ない忘れられない傷を抱いた被災者達が、安らかな一日を過ごせますように。
そして、10年前のあの日に亡くなった方々に追悼の意を込めて。